秘密無くすべからず

島崎藤村「破壊」読了。
自分が部落差別出身者であることを隠すように親から言われて、その葛藤に悩む主人公の心情を描いた作品。

子供の頃から読みたいと思いながら、手が出なかった島崎藤村の大作である。

私も子供ころから人には言えない秘密は多々あった。
子どもながらに悩む日々を過ごしていた。
であるがゆえに大人になることが出来た。

秘密を持たずして大人にはなれない。

しかし、その秘密そのものも果たして本当に秘密なのか?
よく考えてさせられる作品であった。

肉となり骨となる良書であった。
たまにはこのような歯ごたえのある作品に触れることをお薦めする。

いつも離乳食では大人にはなれない。
2,3時間で読み終えれるような本もお手軽で良いが、たまには歯ごたえのある作品に触れておかないと、成長しない。

色々な意味で考えさせられる良書に出逢った。